ローゼンメイデン読了
そうかもう十年以上前に始まった作品なんだな、と感慨深い物があった。
最近はめっきり目にしなくなった、旧来型のオタク少年の物語。
いつも教室の隅で一人で本を読んでいるような『俺達』の物語。
いつからか、漫画の世界もアニメの世界にも『俺達』の姿は消えていた。
電車男からか、涼宮ハルヒからだったかは分からないがあの辺りから『俺達』の世界は侵食されていった。
徐々に、少しずつ、確実に。
オタクという言葉は『俺達』だけのものでは無くなっていった。
多分、孤独な主人公はもう、流行らないのだろう。
とても、とても居心地のいい一人だけの世界。
俺だけの世界。
俺と誰かだけの世界。
それゆえの「セカイ系」なんだろうと思う。
友人はいたとしてもそんなに多くは無く、似たような何時ものメンバーでやんわりと構成されていた世界。
今は違う、メカクシ団がそこらじゅうにいる。
そうして、僕は友達が少ない。らしい。
一人でいることが寂しいと分かってしまうほどに、人間は繋がれる様になってしまった。
どこかの神様が「ひとりぼっちになったらだめだよ」と手を差し伸べてくれた。
孤独だったマミさんは仲間を手に入れた瞬間にマミられた。
ぼっちはもうネタにされるレベルになった。
便所飯、そんな言葉すら生まれた。
孤独、孤独、孤独。
ふと思う、今の『俺達』はどこで何をしているのだろうかと。
相変わらず、エロゲをやっているのだろうか?
相変わらず、教室の隅で寝たフリを続けているのだろうか?
相変わらず、「二人組み作って~~」の声に脅えているのだろうか?
相変わらず、不器用に頑張って学校に行っているのだろうか?
今の『俺達』の孤独は何が癒しているのだろうか。
誰が癒してくれているのだろうか。
人と人とのつながりがより具体的に見えるようになったこの生きにくい世界で、
今の『俺達』はどんな青春を送っているのだろうか?
多分、それなりに楽しんでるんだろうなあ。
と、昔の自分を思い出して、俺はほんの少しだけ笑った。